遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

山田雄司 三重大学教授

2016年07月23日
「科学」で忍者の真の姿に迫る企画展「The NINJA-忍者ってナンジャ!?」(日本科学未来館7月2日~10月10日まで開催)総合監修を務めた三重大学人文学部の山田雄司教授は、忍者に大切な能力は、「臨機応変な適応力」、「見聞きしたことを覚える記憶力」、「コミュニケーション力」とされ、特に相手から情報を聞き出すためのコミュニケーション力は重要視された。また、忍者は、儒教、薬草、火薬、天文学などあらゆる知識を有し、その知識を得るために、地道に研究を重ねていたと語った。

忍者がどうしても敵と戦うイメージがあるが、戦ってしまえば死ぬ確率が高くなり、情報を伝えられなくなる。敵と対峙し戦うことよりも、生き延びて情報を持ち帰ることに重きを置いて活動していたことから、目立ってはいけない存在であった。敵国の軍事力の情報を得て戦を中止したり、敵国の政策で良いものは自国で生かしたりと、平和的に利用されることもあったという。

山田教授は、「技や術の面だけでなく、忍者の「忍ぶ心」や「耐える姿」が日本人の心にマッチしたからこそ、長いこと愛され、日本の美徳とされてきました。そうした精神が、現在まで続く日本の土壌を培ってきたのだと思います。」と感想を述べた。

忍者は心・技・体を鍛えるために地道に鍛錬していたので、この企画展で子供たちにもコツコツと地道に取りくむということを体感してほしいと山田教授は強調した。

甲賀組百人武士末裔である遠藤 潔 第十八遠藤宗家は、忍者・忍術に関する研究を通じて山田教授と交流がある。


■ 山田雄司
91年京都大学文学部史学科卒業、98年筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科史学専攻修了、「崇徳院怨霊の研究」で学術博士。99年三重大学人文学部講師、01年助教授、07年准教授、11年教授。
著書『怨霊・怪異・伊勢神宮』(思文閣出版)、『忍者文芸研究読本』(編著・笠間書院)、伊賀忍者研究会編『忍者の教科書 新萬川集海1・2』(監修、笠間書院)など。