遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

フィリップ・セトン駐日フランス大使

2021年12月13日
フランスのフィリップ・セトン駐日大使は、米英などが表明した北京冬季五輪の外交的ボイコットについて「視野に入れていない」と述べ、仏政府が派遣する人物の選定を進めていると説明した。セトン大使は、フランスが米英などに追従しない方針を示す一方で「どのレベルで出席するかについては、調整している」と述べた。

来年1月からフランスが議長国となる欧州連合(EU)の北京冬季五輪への対応については、ルドリアン仏外相が他の加盟国と協議していると説明した上で「EU加盟国による単一行動よりも、どういう形で調整できるかについて話をしている」と述べた。

インド太平洋地域に関しては、中国の影響力が拡大していることや米中関係、北朝鮮の核・ミサイル問題などを注視していることを明らかにした。日仏の防衛協力を強化していく考えを示し、仏軍と自衛隊の共同訓練を行いやすくする「円滑化協定」の締結を日本政府に打診しているとした。

同協定によって「自衛隊と一層の協力が可能になると」と訴えた。日本政府が交渉に入ればオーストラリア、英国に続く3カ国目。5月に仏軍は自衛隊、米軍と日本で初めて陸上部隊の本格的な訓練を実施しており、中国の覇権主義的行動を抑止していくため、仏政府は欧州勢で英国と並び、日本との安全保障協力を活発化させる。

安保分野で2国間の協力向上に資する枠組みとしては、①物品役務相互提供協定(ACSA)②情報保護協定③防衛装備品・技術移転協定がある。日本が3つとも協定を締結しているのは米国とインドを除けば仏英豪だけであり、円滑化協定の締結交渉もそうした流れに沿うものである。

仏軍は5月、海軍艦隊ジャンヌ・ダルクが佐世保港(長崎県)に寄港する機会を生かし、陸軍が陸上自衛隊、米海兵隊との共同訓練を宮崎県と鹿児島県にまたがる霧島演習場で行った。艦隊が次回以降も日本に寄港する際には共同訓練を定例化する見通しで、戦闘機の日本への訪問も予想される。


■ フィリップ・セトン
フランス外務省入省後、96年在イタリアフランス大使館一等書記官、99年欧州連合(EU)フランス政府代表部参事官、04年欧州協力局総務・EU将来部長、06年同局EU域内務部長、09年欧州連合局EU域内政策・制度問題部長、13年政治・安全保障委員会(COPS/PSC)フランス政府代表部大使、16年欧州局長、20年駐日大使。