NTTの澤田純社長は、高速通信規格「5G」の先にある次世代通信基盤について「ゲームチェンジが可能になる」と述べた。世界のデータ通信の容量は2050年に16年比で4300倍に急増する予測を示し、熱が出る電子回路の課題を挙げ「長年研究してきた光技術を半導体にも入れ、低消費電力、高速大容量、低遅延のインフラを実現する」と強調した。

2020年12月にNTTドコモを完全子会社化した理由については「次世代の通信基盤をつくるにはドコモの成長が欠かせない。5Gの次のインフラは、より日本が関与できるエコシステムをつくる」とし、無線と固定の通信技術の融合を促進する。次世代の通信分野には同業だけでなく、米アマゾン・ドット・コムなど巨大ITも参入し「ボーダーレス競争が起きている」と危機感を強めた。

NTTは米インテルやソニーなどと連携し、従来の100分の1の消費電力の次世代通信基盤を研究し、実用化を目指している。エネルギー分野では太陽光を活用した宇宙空間でのデータセンター構想、人工光合成、雷エネルギーの活用を進めている。

国内事業ではドコモがデータ容量20ギガ（ギガは10億）バイトで、月2980円のオンライン専用の低料金プランを始める。価格競争が激しくなるなか、小容量の料金の見直しについては「ドコモがどうするかを検討中」と述べるにとどめた。


■　澤田純
日本電信電話株式会社代表取締役社長兼CEO、NTT株式会社代表取締役社長兼CEO、健康長寿産業連合会会長。NTTセキュリティ株式会社創業者。78年京都大学工学部土木工学科卒業、日本電信電話公社入社、85年日本電信電話株式会社設立入社、98年NTTアメリカ・インク バイスプレジデント、00年エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社経営企画部担当部長、02年同社 コンシューマ&オフィス事業部 企画部部長 兼 経営企画部担当部長、コンシューマ&オフィス事業部 企画部部長 兼 IPサービス部部長、03年IPインテグレーション事業部 関西支店支店長兼経営企画部新関西支店準備室室長、03年関西支店支店長、04年関西営業本部本部長、06年経営企画部部長、08年取締役 経営企画部部長、11年常務取締役 経営企画部部長、12年代表取締役副社長 グローバル、コーポレート担当兼経営企画部部長、13年代表取締役副社長 グローバル、コーポレート担当、14年代表取締役副社長 グローバル、コーポレート、オペレーション担当、14年日本電信電話株式会社 代表取締役副社長兼CFO兼CCO[注釈 1]兼CIO 事業戦略、リスクマネジメント担当、16年NTTセキュリティ株式会社設立 代表取締役社長 兼 CEO、18年日本電信電話株式会社 代表取締役社長兼CEO（現任）、18年内閣府 中央防災会議委員（現任）、18年NTT株式会社設立 代表取締役社長兼CEO（現任）、19年一般社団法人電気通信事業者協会会長（現任）、19年健康長寿産業連合会会長（現任）。