アジア開発銀行の浅川雅嗣総裁は、新型コロナウイルスの影響で経済的な打撃を受けているアジア太平洋地域の途上国に対して「ワクチンが着実に行き渡るよう、資金面から支援していく」と語った。

浅川総裁は、アジア太平洋地域の途上国にワクチンが行き渡るようにするには、ワクチンの輸送や管理のシステムに多額の投資が必要になると指摘した。その上で、昨年末に構築した総額90億ドルの支援の枠組みなどを通じて、途上国が投資しやすくなるよう資金面から支援していくとした。

一方、新型コロナウイルスの影響で、アジア太平洋地域では、感染の拡大が続くインドネシアやフィリピンや観光業への依存度が高いタイやモルディブ等の国で経済的な打撃が大きく、先月までに99億ドル・日本円でおよそ1兆3000億円の緊急の財政支援を実施した。

浅川総裁は「ワクチンの普及に努めるが、ウイルスに効かないとなるとさらに追加の財政支援が必要になるかもしれない。状況に応じて新しい手を考え、域内の経済の安定や成長に貢献していく」と述べた。


■　浅川雅嗣
アジア開発銀行総裁、元財務官。81年東京大学経済学部卒業、国家公務員上級甲種試験（経済）合格、大蔵省入省（関税局国際第一課）、83年留学（米・プリンストン大学）、85年主税局国際租税課、87年廿日市税務署長、88年国際金融局国際機構課課長補佐、89年派遣職員（アジア開発銀行）、92年理財局総務課課長補佐、93年理財局資金第二課課長補佐、94年主計局主計官補佐（運輸第一、二、三係主査）、96年主計局局付（派遣職員・国際通貨基金）、00年国際局国際収支課アジア通貨室長、01年国際局地域協力課長、02年主税局国際租税課長、04年国際局為替市場課長、06年国際局開発政策課長、07年国際局総務課長、08年大臣官房参事官（副財務官）、08年内閣総理大臣秘書官（麻生太郎総理）、09年大臣官房参事官（副財務官、大臣官房・主税局担当）、11年大臣官房審議官（副財務官、大臣官房・主税局担当）、経済協力開発機構租税委員会議長、12年国際局次長、（命）財務大臣秘書官事務取扱（麻生太郎総理）（併）内閣官房（命）麻生国務大臣秘書官事務取扱（麻生太郎総理）、13年大臣官房総括審議官、14年国際局長、15年財務官、19年辞職、内閣官房参与兼財務省顧問、20年アジア開発銀行総裁。