遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

アントニオ・グテーレス 国連事務総長

2020年10月05日
毎年「世界ハビタット・デー」は、世界の都市やまちの状況に注目しています。今年は、特に持続可能な都市開発の原動力として、住宅が果たす中心的役割に焦点を当てています。

現在、10億の人々が密集した居住地の不適切な住宅にひしめき合うように生活しています。2030年までにその数は、16億人にまで増えるでしょう。住まう権利や水・衛生・交通などの基本サービスへのアクセスが可能となる廉価な住宅を低所得世帯や脆弱な立場の人々に供給するための行動が今、求められています。世界の需要に応えるためには、毎日9万6千軒以上の住宅建設が必要となります。しかも、環境配慮型社会への移行に沿うものでなければいけません。

このような生活状況の改善に一刻の猶予もないことは、新型コロナウイルスが何百万人という都市の人々の生命を脅かしたことによって改めて浮き彫りとなりました。社会的距離を保ちながら、清潔な水や衛生設備へのアクセスを確保することが、感染症流行対策の鍵です。しかしながら、スラムでは、これらの対策を取ることが難しいことが明らかとなっています。これは、スラムに留まらず、インフォーマル居住区で生活し、インフォーマルセクターに働く低所得労働の人々に下支えされる都市全体で感染リスクが高まることを意味します。

持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた「行動の10年」の中、今年の「世界ハビタット・デー」に寄せて、私は、都市における住宅の課題を改善するために、パートナーシップに基づいた低所得層にやさしい政策や規制を促進する一層の努力を求めます。感染症流行を克服し、感染症があらわにした脆弱性と不平等に取り組み、気候変動と戦いながら、今が人と地球のために都市化の変革の可能性を引き出す時なのです。


■ アントニオ・グテーレス
ポルトガルの政治家。第9代国際連合事務総長。同国の首相や社会主義インターナショナル議長、国連難民高等弁務官(UNHCR)等を歴任。96年ブラジル南十字星勲章大十字、97年ポーランド共和国功労勲章大十字、98年ウルグアイ東方共和国勲章大将校、99年メキシコアステカの鷲勲章特別懸章、00年ベルギーレオポルド勲章大綬章、スペインカルロス3世勲章大十字、ギリシャ名誉勲章大十字、01年イタリア共和国功労勲章大十字、01年チリ功労勲章大十字、カーボベルデアミルカル・カブラル勲章1級、16年ポルトガル自由勲章大十字、02年スペインイザベラ・カトリック女王勲章頸飾、ポルトガルキリスト勲章大十字、フランス国家功労勲章大十字、ポルトガル南十字星勲章大頸飾、日本旭日大綬章、チュニジア共和国勲章大綬章、イタリアヤロスラフ賢公勲章1等等を受章。