遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

神津里季生 連合会長

2019年11月15日
10月11日に行われた日本労働組合総連合会(連合)の定期大会で正式に続投が決まった神津里季生会長は、結成30年を迎え「色々あってもまとまりを強固にしてきた意義は大きい」と述べた。

連合は1989年に官公庁労組を中心とする旧社会党系の総評と、旧民社党系の同盟の流れをくむ民間労組が大同団結し発足した。自治労、日教組の共産党系反主流派は分裂し全労連を形成、総評左派は全労協を形成した。連合は発足2年目に808万人組合員と総労働組合員1200万人の3分の2を占め、大きな政治的な発言力を有するに至った。

しかし、製造拠点の海外流失や非正規社員の増加など労働の流動化、若者の組合活動の敬遠などから2007年には664万人にまで落ち込んだ。現在は700万人を回復したが増加分はパートなど非正規社員がほとんど。従業員100人未満の中小組織率は1%を切っており「1000万人連合」の目標にはほど遠い。

連合は10月24日の中央執行委員会で、企業内最低賃金時給1100円以上を要求する2020年春闘基本構想案を決めた。最低到達水準として35歳(勤続17年相当)で月給25万8000円も明記した。最賃の要求金額や給与水準を明記するのは初めてで、規模間・雇用形態での格差是正を前面に押し出し、中小企業労働者の賃上げを促す。

また、パート労働者を含む企業内の全ての労働者を対象に時給1100円以上とする最賃協定締結を目指すとした。雇用形態での格差是正の目標水準は勤続17年相当で月給28万500円に設定した。

2019年度の最低賃金(時給)の地域別最高額は東京都の1013円。神奈川県の1011円とともに初めて1000円を超えたが、連合は地域別最賃、産業別最賃の上に企業内最賃を設定することで全国でのボトムアップを図る。この中小労働者と非正規社員の取り込みを狙った手法が支持を得られるか「大企業正社員クラブ」連合の方針転換である。また「底上げ」に向け2%程度を基準とするベースアップ(ベア)要求も盛り込んだ。

連合のベア要求は7年連続で、定期昇給分2%を含めた賃上げ率の目標は4%と5年連続で同水準となる。


■ 神津里季生
79年東京大学教養学部アジア科卒業、新日本製鐵株式会社入社、 新日本製鐵広畑製鐵所、83年新日鐵本社の労働組合建材・鋼管支部書記長、84年新日鐵本社労働組合執行委員、88年日本鉄鋼産業労働組合連合会特別本部員、90年日本労働組合総連合会(連合)を通じて外務省在タイ日本国大使館一等書記官、94年新日鐵労働組合連合会書記次長、98年新日鐵労働組合連合会書記長、02年新日鐵住金労働組合連合会会長、06年日本基幹産業労働組合連合会事務局長、10年日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員長、全日本金属産業労働組合協議会副議長、10年連合副会長、13年連合事務局長、15年同会長。