遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

田中均 日本総合研究所国際戦略研究所特別顧問

2025年10月17日
日本総合研究所国際戦略研究所の田中均特別顧問は、現今の国際環境の不安定について「世界がもはや戦争を止められなくなっているのではないか、という危機感をリアルに抱かせるものだ。その大きな要因は、戦後の国際秩序形成や維持で圧倒的な軍事力を併せ持ちながら指導力を発揮してきた米国の関与の後退だ」と持論を述べた。

ロシアのプーチン大統領がウクライナに侵攻については「ソ連の崩壊以降、領土、国力、国際的地位が低下した中で、大ロシア復活の野望をかなえる好機と考えたためだ。今なお侵略をやめないのは、世界にはロシアの行動を止める力がないと考えたからだろう。イスラエルのネタニヤフ政権が国際社会から非難されようがガザ攻撃をやめず市民を殺戮し続けたのも、最大の支援国の米国が本気で止めるとは考えていない」と指摘した。

米国がこれまで指導力を発揮できた背景には、圧倒的強国であっただけではなく、軍事力の行使をしてきた。トランプ大統領の行動は「アメリカ第一」であり、国際秩序維持のために米国が犠牲を払うことは考えない。さらに「法の支配」より「力の支配」が濃厚であり、国際法や国際規範に反することになっても力によって相手を屈服させることを厭わない状況である。

こうした米国に対して、米国の軍事力に依存する同盟国に対して「トランプを怒らせたくないと短期的に譲歩している。しかし長期的には、できるだけ米依存から離れようとし、世界は大国の一方的な軍事侵略を抑止する力を失いつつある」と語った。

田中均特別顧問は「日本が自律的な外交により、経済面で中国や韓国、ASEAN、インドなどとの連携を深めることが重要な梃子となるだろう。同時に、米国第一主義のトランプ政策に合意しない欧州と連携を強めることが必要だ」と強調した。


■ 田中均
69年京都大学法学部卒業後、外務省入省。72年オックスフォード大学哲学・政治・経済学修士課程(P.P.E.)修了、在インドネシア大使館、74年経済協力局経済協力第一課、76年経済協力局政策課、77年アジア局南東アジア二課、79年在アメリカ大使館、83年北米局北米第一課首席事務官、85年北米局北米第二課長、87年アジア局北東アジア課長、89年イギリス国際戦略研究所 (IISS) 研究員、90年在連合王国日本国大使館公使、93年総合外交政策局総務課長、96年北米局審議官、98年在サンフランシスコ日本国総領事、00年経済局長、01年アジア大洋州局長、02年外務審議官(政務担当)、05年退官、公益財団法人日本国際交流センターシニア・フェロー、06年東京大学公共政策大学院客員教授、10年株式会社日本総合研究所国際戦略研究所・理事長。