遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

フィリッポ・グランディ 国連難民高等弁務官

2025年10月15日
10年に及ぶ在任期間で今年末に退任するフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、パレスチナ自治区ガザ地区の和平交渉について「停戦実現に向けた米国やトルコ、カタール、エジプトの力強い姿勢には勇気づけられた。停戦がこのまま維持され、ウクライナやスーダン、ミャンマーなど他の紛争でも教訓が生かされることを願う」と述べた。ガザ地区では、10日にイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦が発効された。米国やアラブ諸国の仲介による停戦合意に基づき、人質の解放などが進められている。

グランディ国連難民高等弁務官は、世界の難民や強制的な移住を余儀なくされている人の数が、日本の総人口(約1億2000万人)に匹敵し、過去最悪のレベルに達していると説明した。一方、米国をはじめ各国で対外援助削減の動きが進んでおり、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も「壊滅的な影響を受けている」と明かした。

UNHCRへの捻出金は、例年は50億ドル(約7570億円)から今年は35億ドル(約5300億円)程度にとどまる見込みとなり、2024年9月時点の拠出額はトップの米国が20億ドルから25年同月時点では8.1億ドルに減少し、フランスも1億ドルから4510万ドルに減額となった。

グランディ国連難民高等弁務官は「各国で厳しい予算上の制約があることは理解するが、難民への支援は地域の安定化につながる」と述べ、支援継続の重要性を強調した。

グランディ国連難民高等弁務官は外務省で岩屋毅外相と会談し、故緒方貞子国連難民高等弁務官が提唱した「人間の安全保障」の観点に立ち、人道状況を改善すべく、パレスチナ自治区ガザなどの人道状況改善に向けて協力していくことを確認した。


■ フィリッポ・グランディ
81年ミラノ大学現代史学位取得、87年ローマグレゴリオ大学哲学学士号取得、88年国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)入所、97年ジュネーブUNHCR事務局特別補佐官、首席補佐官、01年UNHCRミッションチーフ、04年国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)事務総長副特別代表、05年国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)副長官、10年国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)長官、16年国連難民高等弁務官、20年難民高等弁務官再選、19年世界経済フォーラムの人道投資に関するハイレベルグループメンバー、24年オリンピック月桂樹勲章、25年カトリック教イザベラ勲章大十字勲章。