遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

アントニオ・グテーレス 国連事務総長

2025年01月27日
今年はホロコーストの終結から80年目にあたります。私たちは、民族全体を滅ぼそうとしたナチスとその協力者によって殺害された、600万のユダヤ人を追悼します。ロマやシンティの人々、障害者、そして奴隷にされ、迫害され、拷問され、殺害されたその他すべての人々に深い悲しみを表します。

私たちは犠牲者、生存者、その家族とともにあります。そして、決して忘れないという決意を新たにします。ホロコーストを記憶から風化させることは、過去を侮辱し、未来を裏切ることです。記憶を呼び覚ますことは、道徳的行為であり、行動を呼びかけることです。ホロコーストの歴史を知ることは、人類が堕ちうる闇の深さを知ることです。

ナチスが他者と共謀し、いかに凶悪な罪を犯すことができたのかを理解することです。そして、私たち一人ひとりが厳粛な義務を負っていることを認識し、憎悪に対して声を上げ、すべての人々の人権のために立ち上がることです。ホロコーストの地獄の後、各国は団結しました。そしてあらゆる人々の尊厳を世界人権宣言に刻んだのです。

暗黒の時代にあって、その文書は輝く光としてあり続けます。ホロコーストの終結から80年が経っても、反ユダヤ主義は私たちの周囲にはびこっています。ナチスによるジェノサイドを許したのと同じ嘘と憎しみに煽られています。そして勢いを増しています。

差別が蔓延しています。憎悪が世界を掻き立てています。議論の余地のない歴史的事実が歪曲され、矮小化され、否定されています。ナチスとその協力者たちに新たな衣をまとわせ、復権させようとする取り組みが見られます。私たちは、こうした暴挙に立ち向かわねばなりません。

この分断の時代において、そして10月7日のハマスによる恐ろしいテロ攻撃から1年余が経過した中で、私たちは共通の人間性を固く守らねばなりません。反ユダヤ主義を非難しなければなりません。それは、あらゆる形態の人種差別、偏見、宗教的偏狭を非難しなければならないのと同様です。

そして、すべての人々の尊厳と人権を擁護するという決意を新たにしなければなりません。これらの大義は、まさに国連の核心に通じるものです。私たちは、決してホロコーストを忘れません。そしてその闘いにおいて、決して揺らぐことはありません。


■ アントニオ・グテーレス
ポルトガルの政治家。第9代国際連合事務総長。同国の首相や社会主義インターナショナル議長、国連難民高等弁務官(UNHCR)等を歴任。96年ブラジル南十字星勲章大十字、97年ポーランド共和国功労勲章大十字、98年ウルグアイ東方共和国勲章大将校、99年メキシコアステカの鷲勲章特別懸章、00年ベルギーレオポルド勲章大綬章、スペインカルロス3世勲章大十字、ギリシャ名誉勲章大十字、01年イタリア共和国功労勲章大十字、01年チリ功労勲章大十字、カーボベルデアミルカル・カブラル勲章1級、16年ポルトガル自由勲章大十字、02年スペインイザベラ・カトリック女王勲章頸飾、ポルトガルキリスト勲章大十字、フランス国家功労勲章大十字、ポルトガル南十字星勲章大頸飾、日本旭日大綬章、チュニジア共和国勲章大綬章、イタリアヤロスラフ賢公勲章1等等を受章。