ニュースリリース|2013年

近藤誠一 前文化庁長官

2013.07.29
7月7日に退任した近藤誠一前文化庁長官は、三保松原の逆転登録の背景を含め富士山の世界文化遺産登録の意義について語った。

近藤氏は外交官出身で、ユネスコ日本政府代表部大使時代の2007年には石見銀山の世界文化遺産登録に関わったが、当時から世界遺産の「政治化」を懸念していたという。三保松原を含めた富士山の登録も「自分の案件は政治化してひっくり返した」と見られないよう、気を遣った。

プノンペンではまず、4人の「世界遺産委員会の権威」と接触。イコモスが、富士山から45キロ離れていることを問題視した三保松原について「目に見えないつながりがある。価値を主張しても政治的プレッシャーにはならない」との評価を得る。この評価を後ろ盾に、物的証拠重視のイコモス勧告を、厳格に尊重しようとする委員国を説得していったと述べた。

「どんな交渉も人間関係が大事」と振り返る近藤氏は、委員国の大使らとは気心の知れた仲で、趣味や経歴も調べて長く関係を維持してきたからこそ「最後に分かってくれた」とした。



●近藤誠一
第20代文化庁長官。国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)大使、デンマーク駐箚特命全権大使を歴任。退官後は、近藤文化・外交研究所を設立し、JXホールディングス取締役、カゴメ取締役、パソナグループ取締役、長野県文化振興事業団理事長、東京都交響楽団理事長、東京大学政策ビジョン研究センター特任教授、東京藝術大学客員教授などに就任。

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