ニュースリリース|2012年

渡部恒雄  東京財団上席研究員

2012.11.16
渡部恒雄氏は、ミシェル夫人が水道局の技師だった父親について語った党大会での演説を紹介。「オバマは庶民のプライドと苦悩を深く理解している」という夫人のメッセージが有権者の間に広がったと指摘した。今回の選挙では、ヒスパニック系の71%、アジア系の73%、そして女性の過半数の55%がオバマ氏に投票したという。

アメリカはヒスパニック系の市民や低所得者層などマイノリティーが確実に増えている。オバマ陣営はその意味を理解し、そうした人々の支持をつかんだのに対して、共和党は理解が足りなかった。ロムニー候補は、アメリカ国民の47%を占める非納税者、つまり低所得のマイノリティーを切り捨てるような失言をした。

渡部氏がもうひとつ注視した、社会における女性パワーだ。渡部氏は「オバマ政権は女性に支持された政権であり、アメリカ全体としても女性の影響力は強まっていく」と分析した。議会の選挙では、ハワイの日系女性を含め20人の女性上院議員が誕生。ミズーリ州では、共和党の有力男性候補が、女性の妊娠中絶について「本当のレイプなら妊娠しない」と問題発言をし、民主党の女性候補に敗れている。

渡部氏はまた、今回の選挙は、ロムニーが主張した「小さな政府」とオバマが唱えた「スマートな政府(大きな政府)」の選択でもあったとも指摘した。それは経済的な側面というよりも、政府の関与が増すことを是とするか否かというイデオロギーに関わる問題であるとした。


●渡部恒雄
88年東北大学歯学部卒業、97年読売論壇新人賞佳作入選、03年戦略国際問題研究所上級研究員、05年三井物産戦略研究所主任研究員などを務め、東京財団上席研究員・政策研究部ディレクター(外交・安全保障担当)に就任したほか、戦略国際問題研究所非常勤研究員、沖縄平和協力センター上席研究員を兼任。


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