ニュースリリース|2012年

本間正義 東京大学大学院教授

2012.06.20
本間教授は、第1に「日本はTPPに入らない覚悟を本当にできるのか」と問う。好むと好まざるとにかかわらず、いまやグローバル化から避けるわけにはいかない。国際経済のネットワークの外におかれてしまう国は、ガラパゴス化してしまう。それは、経済活動の縮小を招き、豊かさを失うことを意味する。

第2に、日本農業が壊滅することはないという。TPPに参加すれば、日本農業は当然影響を受ける。しかし、関税の即時撤廃は「原則」であって、例外が設けられるであろうし、撤廃までに数年の猶予も与えられる。対応の余地はある。関税の低い野菜など一部の農業は、現状でも「オランダ型農業」を確立し、国際競争に打ち勝つ体質に育っている。

第3に、市場開放は、規模拡大など日本農業の構造改革に取り組むチャンスになる。価格競争力のないといわれる稲作でも、大規模経営にすれば海外産米と十分対抗できる。企業の農業参入を認めるとか、特区で異業種とのコラボレーションを進めるとかすれば、付加価値の高い農産物や食料の生産が可能になる。

農協などは、TPP参加を阻止し日本農業を守れと主張している。「それは甘い」と教授はいう。「TPPに参加しなければ、日本農業はゆでカエル状態で衰退するだけだ」と強調した。



●本間正義
76年東京大学大学院農学系研究科修士課程修了、82年アイオワ大学大学院経済学研究科博士課程修了、83年東京都立大学経済学部助手、85年小樽商科大学商学部助教授、91年同教授、96年成蹊大学経済学部教授を経て03年から現職。10年度日本農業経済学会会長。日本国際フォーラム政策委員。

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