ニュースリリース|2011年

浅田次郎 日本ペンクラブ会長

2011.12.02
浅田次郎氏は、希望的観測について根拠づいた合理的な判断ではなく、「〜だったらいいな」とか「〜であってほしい」という非合理的な希望に基づいた判断のことであるとした。

この語源をたどったところ、明治維新後、日本の陸軍の軍式はフランス式にのっとるが、ドイツ軍の活躍が甚だしかった普仏戦争以降、パッとドイツ式に乗り換えた。その時、お雇い外国人をドイツから迎えたのがメッケル少佐。彼は日本の陸軍を教育しながら、日本の軍人は総じて優秀であるが、1つだけ欠点がある。それは、『希望的観測』で作戦を展開していることだ述べた。

こうした国民性が磨かれた理由として、島国である日本の特性が江戸時代の260年間に渡り戦争がなかったことだとした。つまり、国内外問わず、日本人ってのは外敵から自国の領土、自分たちのテリトリーを侵略される経験をしないまま「なんとかなってきた」のであって、当然危機意識が育たなかったのは、ある意味必然であると語った。

そうした中、マイナスから合理的な考えを常に持ち得ることが、成人力 となり、危機的な状況下においても能力を発揮することができると主張した。


●浅田次郎
自衛隊に入隊、除隊後はアパレル業界など様々な職につきながら投稿生活を続け、91年『とられてたまるか!』でデビュー。悪漢小説作品を経て『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、『鉄道員』で直木賞を受賞。時代小説の他に『蒼穹の昴』、『中原の虹』などの清朝末期の歴史小説も含め、映画化、テレビ化された作品も多い。08年現在、直木賞、吉川英治文学新人賞、山本周五郎賞選考委員。11

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