
クリスティアーナ・フィゲレス国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局長は、各国政府に対して、昨年12月のメキシコでの国連気候変動会議で成立したカンクン合意を早急に各国で具体的行動に移し、京都議定書の将来をはっきりさせるよう呼びかた。
「政府はカンクンで合意したことを早急に実施し、今年のダーバン会議で次の大きな一歩を踏み出さねばなりません」と事務局長は語った。
フィゲレス氏はメキシコでの国連気候変動会議の成果を、これまでで世界最大規模の温室効果ガス排出量削減に向けた集団的取り組みの基盤を含む、さらに強力なグローバル気候変動対策に向けた確かな前進と評価した。
事務局長はまた、カンクン合意を評し、開発途上国による気候変動対策を支援するために、各国政府がこれまでに決定した最も包括的な措置であるとともに、地球の平均気温上昇を産業革命以前との比較で摂氏2度未満に抑えるための長期的合意でもあると述べた。
しかし、事務局長は、これまでの各国の排出量の削減または抑制の約束を合計しても、気温上昇を2度未満に抑えるため、科学界が2020年までに必要と判断する削減量の60%にしかすぎず、合意された気温上昇目標の達成を不可能としないためには、2015年までに排出量を頭打ちにする必要があるとの警告も発している。
フィゲレス氏は、2020年までに排出量の25%削減(対1990年比)を表明することで、リーダーシップと意欲、そして先見の明を示した日本を称えた。
●クリスティアーナ・フィゲレス
82年駐独コスタリカ大使館公使参事官、87年コスタリカ計画省国際協力局長、04年気候変動シニア・アドバイザー、07年 CDM理事会ラテンアメリカ・カリブ代表、08年国連気候変動枠組条約ビューロー副議長、民間企業の気候変動に関するアドバイザー等を歴任。