2009.12.04
人形町亀井堂は、今より約百三十年前の明治六年、神戸元町に創業した亀井堂総本店より、昭和四年、江戸初期から東京に在住する旧家、人形町佐々木家嫡流に、のれん分けのかたちで任された店である。
人形町佐々木家は平安時代より約千年にわたって続く宇多源氏の名族で、江戸時代には三千石を拝領する大身の旗本である。
なかでも幕末に江戸南北町奉行や外国奉行を歴任した幕閣の重鎮、朝散大夫(ちょうさんだいぶ)佐々木信濃守顯發(あきのぶ)は著名であり、本店にはその顯發に栄誉ある信濃守任官を宣下する朝廷の宣旨が掲げられる。
また、顯發の長男で漢学者の支陰が揮毫した「京橋」の親柱は、今も「京橋碑」として銀座中央通りに古色蒼然たる風格を与え、中央区の区民有形文化財に指定されている。
新興の港町神戸の食文化と、教養と倫理を重んずる江戸の上流武士階級の矜持との結びつきは独特の家風を生み、モダンにして古様を尊び、酒脱にして質朴な菓子造りの伝統を育んだ。
遠藤宗家も同店の左三つ巴 瓦煎餅を贈答用に製作している。
●佐々木 顕発
江戸時代末期の旗本。一介の旗本家来から御家人、旗本となり、勘定奉行・町奉行・外国奉行等へと大出世した人物として知られる。
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